時折、ヘアメイクさんからご相談を受けることがあります。
「クライアントさんからお金の支払いがありません」
「所属(登録)していたヘアメイク派遣の会社から支払いがありません」

これはヘアメイクさんに限ったことではないかもしれませんね。
今は景気が悪いです。
ハッキリ言って、日本の経済は良くない状況だと思います。
だから悲鳴を上げている企業もたくさんあるのも事実です。
企業は活動し続けないと、倒れてしまいます。だから、お仕事や広報活動はするけれど、結果として、買掛が貯まってしまって、総崩れ・・・
1つの会社を経営していれば、世の中の状況によって、不測の事態は起こり得ます。
だから、こういうことは起こり得るということは、わからないわけでもないんです。
でも、フリーランスの方は、支払いが起こらないと生活に直結した問題。
「フリーランスは、どこに責任を取ってもらえばいいのでしょう」
こんなご相談もいただきます。
フリーランスは、個人事業です。ですから、責任は自分なんです。
1つの会社を経営しているのと同じ。自分自身をマネージメントしているのですから。
日本では、フリーランスということに対して理解が低い分、フリーランスの方々自身も、自己責任ということを忘れてしまうんですね。
まずは、フリーランスになったら、自分ですべての責任を背負うという覚悟をすること。仕事して、お金を取れなかったら、自分でその企業や担当者と交渉をする力を持たなくてはいけません。
だれも責任は取ってくれない。そう覚悟をすること。
お仕事を獲得するときのポイント
お仕事を獲得するときは、その内容を見極めることが大事です。
撮影日程、場所、クライアント名、内容、ギャラ金額など。
当然のことながら、クライアントさんの連絡先が確保できるかどうかも大事です。できれば、携帯と固定電話、メールアドレスはフリーのもの以外のもの。それらを確保できることが、安心感につながります。

その他に、確認したほうがいい項目をいくつか列挙しますね。
- ギャランティは当日払いか、いつの支払いか?
- ギャラの源泉徴収はどうなっているのか?(法人であれば、個人に対しての支払いは税金を差し引いた額を支払い、税金は法人がまとめて月に1回支払います)
- 交通費は別途支給かどうか、消耗品に対する負担はどうなっているのか?
- 事前の打ち合わせがあるか、ないか
- 担当者の顔写真(これをいただいておくと、安心です)
- 複数の連絡先(法人であれば、担当者2名以上の名前をいただく)
- 仕事の内容によっては、プロデューサーのお名前を聞いておく
細かいことですが、こういった内容を事前に理解しておくことは、ビジネスの上では大事なこと。恥ずかしいとか、面倒くさいという思いは捨てて、是非、確認していただきたい項目です。
前払いという方法
日本ではあまりなじみのない方法ですが、半額前払い、というギャラの受け取り方もあります。
日本は性善説で世の中が出来上がっていますので、仕事の後、請求書によって法人の支払いサイクルに基づいて支払いが行われることが、一般的です。
しかし、海外では半額前払いということが当然のこととして行われています。
フリーランスの方は、是非この方法を利用していただきたいと思うのですが、担当者としっかりと、しかも失礼のないように交渉する必要があり、交渉力が試される方法でもあります。
また、半額前払いする方としては、リスクも背負うことになります。仕事を受ける側は、半分リスクが軽減されますが、仕事を発注する方はリスクが半分増えることになるのです。
そのため、現場で、クライアントが「腕が悪い」「臨機応変な対応ができない」などとマイナスの印象を受けてしまった場合は、クライアント側からギャラの減額交渉が入る可能性が高くなります。もちろん、後払いでも同じことではありますが、人間の心理として「一部支払ったんだから、もっとちゃんとやってよ」という気持ちが働いてしまいます。
まだ、経験不足だ、と感じている人は、この前払いの方法はお勧めしません。
受発注書の発行
もうひとつのリスク回避の方法として、受発注書の発行という方法があります。
これも日本では、とくに芸能やエンターテイメントの世界ではあまり多くは見られないものです。
受発注書は、受注側、発注側のどちらが発行しても問題はありません。
ひな型も特に決まったものがあるわけではありません。
- 受注日
- 撮影日・業務日
- 内容・場所
- 金額(交通費や消耗品費の負担なども記載)
- 受注元
- 発注元
が書いてあれば、いいでしょう。
覚書程度のものですが、これをメールや記録の残る郵便などで発行しておくだけでも、公的な効果があります。
受発注書のサンプルは下記をご覧ください
■受注書(PDF)
■受注書(エクセル)
自分の身は自分で守る

フリーランスである以上、自分の身は自分で守ることは大前提です。その守り方が大事。保守的になりすぎれば、仕事はなくなりますし、冒険しすぎればリスクは高いです。
自分の腕に自信をつけて、常にスキルアップする気持ちと、どうやって自分を守っていくかという手段を常日頃から考えておいて、いざどうにもならなくなったときのために、武器となるものを用意しておくことが、大事なこと。
信頼は、正しい手段のもとに成り立つのだと思います。
【Hair&Makeup】の役割
ヘアメイクアーティストの皆様のプロフィールを掲載する以上、本サイトの役割もあると思っています。
それぞれのヘアメイクさんの才能を伝えながら、サイトの運営をする中で、クライアントさんを見極めること。役に立つ情報、お仕事情報を掲載していくこと。
それが本サイトの役割と考えています。
まだまだ成長過程のサイトではありますが、登録のヘアメイクさんのご意見を取り入れながら、成長させてまいりたいと思います。